【台湾の作家】★ 「西川満」をご存知ですか?
台湾と日本の関係を探るうえで、
はたまた、台湾文学をひもとくうえで、
キーパーソンの一人である、日本人作家「西川満」氏。
ご存知でしたか?

恥ずかしながら、
今回、【国立台湾文学館】へ立ち寄って、
彼の展示会に遭遇するまで、
わたしはまったく知りませんでした。。。。
彼について、調べれば調べるほど、
「う〜ん、難しい!」という印象。
それだけに、
彼を知るきっかけとして、
文学館に足を運んでよかったな〜と思ってます。
展示は、9月23日までなので、
機会のある人はぜひぜひ



簡単に、私の知ったことをメモすると。。。
西川満(にしかわみつる)氏は、
•1908年2月12日 福島県会津若松市生まれ
•1910年 3歳のとき、父(西川純)とともに台湾へ渡る。
父は、台湾の樹林の昭和炭鉱(昭和炭業社)を経営する。
•台北の樺山小学校
•台北一中
•台北高校受験に2度失敗し、19歳で基隆の税関吏となる
•日本の早稲田大学仏文科に進学。吉江喬松に師事。
卒業論文は「アルチュール・ランボー」。
•1933年、大学卒業(26歳)。
師事していた吉江喬から
「地方主義文学のために一生をささげよ」との教えをいただき、台湾に戻る。
•台湾日日新報社(当時の台湾の新聞社)に入社
•1934年9月 媽祖書房を創設、雑誌『媽祖』を刊行
• 1939年(32歳)12月 発行元の台湾詩人協会を自宅に置いて詩誌『華麗島』を創刊。
• 1940年1月 『文藝台湾』へと発展、創刊
•1944年12月、父・西川純が死去。跡を継いで、昭和炭業社の社長となる
•終戦後の1946年4月7日 日本へ引き揚げ
•その後も、作家活動を続けるも、ほとんど注目を浴びず
•1999年2月24日 逝去

彼の父親は、台湾で炭鉱を経営する一方、
台北市会議員もつとめるほどの名士で、
息子•西川満が執筆した『台湾縦貫鉄道』を出版するために
わざわざ台湾出版文化株式会社(社長は父親)という出版社までつくったそうです。
こうした恵まれた環境を背景に、
彼は多くの作品を発表します。
で、これだけだったら、
金持ちの日本人のボンボンが。。。という話になるんだけど、
文芸雑誌を発行するなど、
当時の台湾の文芸運動を促進したことも、これまた事実。
彼が発行した文芸誌『文藝台湾』の前身である詩誌『華麗島』では、
邱炳南(邱永漢)の名前もあがっているそうです。
邱永漢さんといえば、
我が家の本棚にも、
『奥様はお料理がお好き』『食前食後』『象牙の箸』などなど。。。
数々の著作が並んでいるので、
すごーく単純に、
ふむふむ、台湾の文壇にもたしかに影響したんだな、と
素直に頷いてしまう☆
頷いてしまうんだけど、
【西川満=凝った装丁】
などという図式を指摘されると、
やっぱ金持ちのボンボンだし、
日本統治時代の台湾で、エラソーにしていたのかな、
などという邪推も持ってしまったり。。。。
ホント、第一印象というものすら
あやふやな作家なのであります。

作家としてのおもな実績をふりかえると、
処女作は、1935年(昭和10年)の詩集『媽祖祭』。
1937年(昭和12年) 第4回文芸汎論詩集賞・詩業功労賞 詩集『亜片』
1942年(昭和17年) 台湾文化賞 小説『赤嵌記』
1947年(昭和22年) 第1回夏目漱石賞[佳作] 小説『会真記』
1949年(昭和24年) 第22回直木賞候補 小説『地獄の谷底』
処女作は『媽祖祭』とありますが、
彼は、戦後、日本に戻ると
媽祖信仰を日本に広めようという動きを行い
日本天后会を主宰したという経緯があります。
また、自らの著作の数々に、
台湾における閩南語(ミンナン語)を多用したり、
台湾の歴史や民話の掘り起こしに努めたことなどを
振り返ると、

家が裕福か否かは別として、
彼は、文学と台湾が単純に好きだったんだな〜 と思ったり

なにはともあれ、
彼の著作をひとつも読んだことがないので、
次回、日本に帰る機会があれば
ぜひ物色してみようと思っています。
『ちょぷらん島漂流記』が
ちょっと面白そうな予感。。。
(タイトルの響きがかわいいね•笑)

日本に引きあげた後は、
とくに注目されることもなかったようですが、
日本よりも台湾でのほうが
彼の評価は高いといわれています。
どういう人柄だったんでしょうね。。。

さてさて、
昨日、ちょこっとお話したとおり、

『国立台湾文学館』は、
建物じたいが、国定文化遺産のひとつです。
1916年、日本統治時代に台南州庁としてつくられた建物の一部が、
まだ残されていたりして、
そうした新旧の建築の融合も、
常設展といいますか、展示のひとつになっています。

↓ 今も残されている、当時の地樑。

建物の基礎部分や地下部分を支えるために
地面の中に施工される梁(地中梁/ちちゅうばり)のことですね。

こんな瓦?も。

いかにも日本っぽいですね〜
そして、なぜか。。。

入り口横にマンモス

これも夏休みの子供向け演出???
**************
おっ!
いいねえ、いいねえ、大ちゃん!

お見合い写真にしてあげよっか?
はぁ〜

めんどクセ!


我が輩も、日々がんばっております

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